色々なことを、気の向いたままに。
事象境界線
凄くTVが見たい。
2009年 07月 04日 (土) 22:01 | 編集
金曜夜9:54~10:00。

今回ほどTVがない生活というのがいやになったことはない。


キノセイデシタ。

化物語は原作が読んでみたい。でも本屋がない。
エンドレスエイトはまだやるんですか、そうですか・・・・・・後何回やるんだ。

こっちの道で技術を使おうかとも考えていた時期もあったので
惰性的に今でもちょろちょろチェックしてますが、
そろそろ他の道も見えてきたので、この時間はばっさり削除な方向かな。

1日24時間とか、1年は365日とか、人の一生は約80歳前後とか
どれもこれも生きるのに短く、生きているのに長い。
生きると、生きているは違うのですよ。


たいして主張もなく、調子の良いことだけやって
なんとなく流れてきてしまったこれまでの人生ですが
今、まさに流されるのではなく自分の意思で
道を決め、覚悟を決め、方向を決めている気がします。

初めて、これは捨てなければならないと感じていることもあります。

じいさんになった今でも「オトナになりたくない」と
漠然と感じていて、でもそれが分岐点に差し掛かって
大人になるか
子供のままでいるか
を突きつけられています。自らの手で。


この状態を説明するのは大変難しいのですが、
次の文章が正鵠を射ているためのせておきます。

↑どうでもよいがこのような表現のときは
正鵠を得ているためとしたほうが口触りが良い(「い」の繰り返しが)。
どっちも正しいんだから気にしないけど。
MAD美味しんぼ 3題

激突! 放射能料理対決

団社長: で、今度の「究極」対「至高」の対決は、放射能を使った料理、ということで進めたいのですが。

大原社主: しかし放射性物質なんて料理に使えるのかね。体に害があるんじゃないの。

団社長: 常識で考えればそうなのですが、実は「放射能を使った料理」を題材にしたいとおっしゃっているのは海原先生なんです。

山岡: 何、雄山が?

団社長: はい。「伝統を墨守するだけが料理ではない。放射能と言えば悪、原子力と言えば危険、とばかの一つ覚えのように考える衆愚(しゅうぐ)の蒙(もう)を啓(ひら)くという点でも意義深いことだ」と…

富井副部長: 対決を断れば我々は衆愚ということか…

山岡: いいですよ。そんな挑発に乗るわけではないけど、向こうがそれでやりたいというなら、ミシンでもこうもり傘でも。

*

ゆう子: 放射能を使ったお料理なんて、本当にできるのかしら。

山岡: そうだなあ。プルトニウム。劣化ウラン。…煮ても焼いても食えないものばかりだ。

二木まり子: 山岡さん、栗田さん、こんにちは。いいものを持ってきてあげたわ。バヌアツみやげ、ストロボの柄よ。

ゆう子: ストロボの柄…?

二木まり子: バヌアツの海には素晴らしい珊瑚(さんご)礁(しょう)があるのよ。新聞記者の方にはお気に召すと思って。だってK・Yって「栗田ゆう子」のイニシャルでしょ? カメラマンの彼氏によろしくね。

ゆう子: 何のことやらさっぱり…

荒川: それにしても二木さん、日に焼けたわねえ。

二木まり子: それはもう、今年は夏中、南太平洋の島でのんびり過ごしていたから。ちょっと焼き過ぎちゃって体中、痛いわ。お金がありすぎて、つい海外で優雅なバカンスを過ごすのも考え物ね。おほほ。

山岡: そうか、その手があったか! 日焼けだよ、日焼け。

ゆう子: どうしたの山岡さん。

山岡: 今度の「至高」との対決の鍵となるのは、日焼けだったんだ。

*

三河編集長: 今回のテーマは「放射能料理」です。それでは「究極」の側からお願いします。

京極: はて。ただのアジの開きの焼いたのにしか見えへんけど…

唐山陶人: 放射能で突然変異した魚なのかな。あんまり食べたくないなあ。

山岡: 大丈夫。ほら、ガイガーカウンターを近づけても、何ともないでしょ。

京極: ほな一口…

唐山陶人: こ、これは…!

京極: ただのアジの開きどころやない。この豊穣さ。

唐山陶人: 魚のうまさを繊細なメロディーにたとえるなら、このアジのうまさはポリフォニー、それも四声部、五声部の旋律がからみあった複雑な音楽だ。めちゃくちゃうまいぞ。

秀沢局長: 信じられない…。いくつもの味の成分が絡まり合って複雑で重厚だが、それでいて軽妙で典雅。まさに、音楽でたとえるなら、バッハのフーガの技法、パッヘルベルの三重カノン、ラベルのパバーヌを合わせたようなすごさ。いったいどんな調理法を使ったんだ。

山岡: 電磁波は料理と深い関係にあります。炭火で焼いた焼き肉がうまいのは遠赤外線の作用だし、天日で干した干物のうまみは、紫外線によるタンパク質分解酵素の活性化、遊離アミノ酸の増加によると考えられる。またこれは調理のあるべき姿とは言えないが、電子レンジはマイクロ波を利用している。

山岡: しかし天日で干す場合、時間をかければかけるほど味は熟成するが、同時に、強烈な陽射しのせいで蒸れたり腐ったりする危険も増す。本来は時間をかけたいが、かけ過ぎることができない。もっと短時間で、長時間天日で干したのと同様の効果を出すことができれば、このジレンマは解決する。ガンマ線の照射がその答えです。このアジは開きにしたあと、天日で干す代わりに強力なガンマ線を照射したもの。放射線の平和利用がいかに素晴らしいか示すため、あえて、それ以外には手を加えず、単純に焼いただけ。一般の家庭で作るには、蛍光灯に付属しているグローランプを30万個ほど並べれば手軽に代用できます。

富井副部長: そうか、放射線は一瞬でも、長時間夏の直射日光を浴びた場合の日焼け以上のケロイドを生じさせる。兵器に使えば物騒な話だが、このように料理に平和利用すると…。しかし、うまい。これはうまいですぞ。ほっぺが落ちそうだ。

三河編集長: 「究極」の側の放射能利用調理法はなかなか好評のようです。それでは次に「至高」の側の料理をお願いします。

唐山陶人: これは…刺身かな。

京極: タイの頬肉や。

唐山陶人: うわはぁ、何というこなれた味…!

山岡: !!!

海原雄山: さよう、マダイの頬肉。そのまま普通に調理しても絶品だが、それを内部被ばくさせてあります。

京極: 被ばくした魚…!

海原雄山: ご心配なく。被ばくさせたのは捕獲直後。半減期は38分。つまり今こうしてお出しする時点では、放射能は事実上ゼロです。その代わり、半減期の短い同位体をいかに海水に組み込むかでは大変な苦労をしました。

唐山陶人: 海水に組み込む?

海原雄山: まず世界で最も汚染がないトンガの海水を採取しました。次にこれを実験室内で徐々に加熱、凝固点の違いを利用して、塩化ナトリウムのみを分離する。同時に塩素の放射性同位元素である塩素38を使って特殊な方法で合成した放射性の塩化ナトリウムを、分離した塩化ナトリウムと同量、加える。この作業によって、トンガの海水が塩化ナトリウムの塩素部分のみ放射性に置き換わった放射性の海水となるわけです。半減期が38分であるから調理は手際よく行わなければならない。極上のマダイを生きたまま、常温に戻したこの放射性海水の中に放り込む。ここからは「究極」側の担当者の説明とも一部重なるが、放射線は紫外線と同様の効果を及ぼし、腐敗なき熟成が行われる。しかし単なる外部照射と違い、線源は海水そのものなので、タイの体内にも浸透し、隅々まで均等に効果が及ぶ。しかも半減期が短いので翌日には放射能が抜け、安全に食べることができる。その結果は…言葉で説明するより味わっていただくのが早いというもの。

唐山陶人: うむ、人類未到の領域を感じさせるわい。「究極」側のアジの干物風も素晴らしかったが、それはアジの干物の延長線上を出ない。日光の代わりに放射線を照射しただけ。それに対して「至高」のタイは調理法そのものが新しい。

大原社主: ……。

小泉編集局長: ……。

三河編集長: えー、審査の結果を発表します。「究極」の放射能料理は大変素晴らしいものでしたが、海水の塩素をアイソトープに置き換え内部被ばくさせるという「至高」の技法と比較した場合、単に放射線を浴びせただけの調理法は幼稚と言わざるを得ません。料理そのものについても、放射線を外部照射した「究極」の料理は、魚の表面と内部で熟成の度合いが異なるため、完全にこなれた味となっていません。調理法の素晴らしさ、結果の素晴らしさのいずれにおいても「至高」の側の勝ちと判断します。

海原雄山: フフッ、士郎。おまえは放射線と言えば外部から被ばくするものとの固定観念にとらわれ、内部被ばくにまで考えが及ばなかった。電子レンジが調理のあるべき姿でないと言いつつ、おまえは放射線を単に照射しただけで満足し、それより先を考えようとしなかった。放射線を浴びせることで熟成させるというのは放射能料理の入口に過ぎないのだ。単に浴びせましたというだけで「究極」とはかたはらいたい!

山岡: うぐっ…

*

富井副部長: 山岡のやつ、呆然としているようだな。

谷村部長: 山岡くん、まあ、そう気を落とさずに。

山岡: いや、ちょっと考え事をしていただけです。雄山の調理法はまだ改良の余地があるのではないかと…

谷村部長: 本当かね?

山岡: 雄山は塩素だけ放射性にしたけど、金を惜しまないなら、水自体をトリチウムの重水にして、そこに魚を漬け込めば熟成効果が上がるはず…

谷村部長: 無理じゃないかな。同じ放射性物質でも、トリチウムは半減期が10年以上だからね…。

山岡: そうか、その問題があったか…。放射能料理は奥が深いな。

ゆう子: でもトリチウムは核融合発電の鍵。クリーンな原子力発電への道を開いてくれる存在。放射性物質には医療・文化財調査・学術など、たくさんの平和利用の分野があるのね。放射能がお料理にも役立つことが分かっただけでも、今回は収穫だったんじゃないかしら…





究極の化学調味料

荒川: とは言っても、事実上、日本の国民食よね。

三谷: そうそう、何にでもお醤油かけるみたいに、何にでも入れちゃう。

ゆう子: 三谷さんは、特にお醤油が好きよねぇ…!

谷村部長: 何の話かね。

山岡: ばかばかしい話です。化学調味料が日本の国民食だなんて。日本の恥部ですよ。

谷村部長: ほお、化学調味料か。確かにその問題は一度、研究してみる必要があるんじゃないかな。

山岡: 研究するまでもない。あんなものは使ってはいけない。それだけです。

荒川: 先入観と偏見じゃないの、それ。隠し味に微量、使うくらいありだと思うけど。

谷村部長: うむ、否定するにせよ、十分に研究もせずに結論を出すのは良くないよ。

*

山岡: ちぇっ、デパートの食品売り場に取材に行ってこいだなんてさ。化学調味料なんて見るのもいやだよ。

ゆう子: こうしてよくよく見ると、いろんな種類があるのね…。

山岡: サイズがいろいろあるだけだよ。中身は全部同じ、グルタミン酸ナトリウムとイノ…

ゆう子: あら、海原先生!

海原雄山: む、おまえたち、こんなところで何をやっているんだ。究極の料理とやらの材料探しか。

ゆう子: よくお会いしますね。

海原雄山: ストーリー展開の都合だ。そんなことより、何だ、おまえたちは、化学調味料を買いに来たのか。情けないにもほどがある。やんぬるかな。「究極の料理」、地に落ちたり。

山岡: そんなふうに化学調味料のことをあしざまに言うからには、それなりの研究と論拠があるのだろうな。

海原雄山: ばかも休み休み言え。化学調味料のどこに研究の余地があるというんだ。すべて画一、同じ味。研究するまでもないこと。

山岡: 十分な研究もせず頭から駄目だと決めつける。無知と偏見の固まりだな…。

海原雄山: ではおまえは、化学調味料を使ったうまい料理を知っているとでも言うのか。付き合いきれん。中川、行くぞ。

山岡: 敵前逃亡しようというのか。

海原雄山: 敵前? 逃亡? ふっ… 何が望みだ。

山岡: 今度の「究極」対「至高」の対決、化学調味料を題材にしたい。究極の化学調味料を味わわせてやるよ。

海原雄山: ……。

ゆう子: 山岡さん、いくらなんでも、それは…

海原雄山: 良かろう。それでは、わたしも至高の化学調味料の使い方を見せてやろう。

ゆう子(独白): 山岡さんたら… 化学調味料をあれほど否定してたのに、海原雄山への敵愾(てきがい)心から今度はムキになって擁護するなんて…

*

三河編集長: えー、今回は「化学調味料」を題材に料理していただきます。では「至高」の側からお願いします。

海原雄山: まず、この汁物を味わっていただこう。

唐山陶人: む…

京極: これは…

海原雄山: お気に召さなかったようですな。今のは前座。それでは至高の化学調味料料理をお出しします。

大原社主: はて、また同じ汁物が。

山岡: …そういうことか。

海原雄山: 最初にお出ししたのと、次にお出ししたのは、まったく同じ汁物。ただし、最初の方には微量の化学調味料が加えてある。お分かりのように、化学調味料は完成された繊細な味わいを破壊するものでしかない。「至高」の化学調味料の使い方、それは使わないことです。

小泉局長: しかし化学調味料を題材とした勝負で化学調味料を使わないというのは、規定違反なのではありませんか。

海原雄山: 審査の先生方がそう判断なさるなら、失格でも結構。「至高」の化学調味料の使い方、それは使わないこと。それがわたしの解答だ。

三河編集長: では「究極」の料理をお願いします。

嶺山社長: 「究極」の側も汁物だ。

唐山陶人: あれれ。ははあ。なんだ、士郎も同じ答えを出したのか。この自然で癖のない味。「究極」の出した答えも化学調味料は使わない、ということだったとは。やはり親子だな。

富井副部長: でも山岡の汁物の方がおいしいよ。

唐山陶人: だしの取り方が良かったんじゃろう。だが今回は汁物対決ではないし、両者が出した答えが同じなら、引き分けということか。

ゆう子: 待ってください。「究極」の汁物は化学合成された調味料で味つけしたものです。

秀沢局長: それこそ反則だ! 天然のいい材料をふんだんに使って、これは化学調味料だと言い張る。規定違反です。

山岡: 説明しましょう。そもそも化学調味料は化学の知見と技術によって合成された調味料のことであって、何もグルタミン酸ナトリウムに限らない。限る必要もない。

ゆう子: わたしたちは、まず信頼のおける一流の調理人、30人に麩だけの吸い物を作ってもらい、それを化学分析し、検出されたすべてのアミノ酸について、別の経路から抽出したものを化学的に再合成したのです。まさに「究極の化学調味料」です。

海原雄山: 何と…。

山岡: それだけではありません。カリウム、マグネシウム、銅、亜鉛、モリブデンなどの微量要素についても、さまざまなパラメータで同じ30人にダブルブラインド・テストを行い、最もおいしく感じられる配合を決定した。驚いたことに、ダブルブラインド・テストの結果は、この調理人たちが自分で最高と考えている配合とは有意に異なった。つまり、われわれの化学調味料は単なる「本物の味」の再合成ではなく、そこから一歩進んでいる。数学的・統計的に根拠ある事実を用いて、化学的な合成を行った。その素材は、主に無機塩の形で海水から抽出したものです。

嶺山社長: そ、それじゃやはり規定違反じゃないか! 海水という自然素材を加工しているのなら、化学調味料とは言えない。

ゆう子: いわゆる「化学調味料」も、サトウキビから抽出したものです!

嶺山社長: ……。

三河編集長: 審査の結果を発表します。「至高」の側はたとえ失格と判定されようとも化学調味料は使わないのが最善である、という主張を貫きました。協議の結果、この点については失格とせず、一つの見識と認めることにします。しかし、「究極」の側の汁物の味は「至高」をしのいでいる。しかもその調理法は、まさに「究極の化学調味料」と言うべきもの。今回は「究極」の側の勝ちとします。





焼きそばパンを守れ! (きんぎょ注意報!)

中学生A: 山岡さん、助けてください!

中学生B: 焼きそばパンが、焼きそばパンが危険なんです! 助けてください!

山岡: こ、困っているのは分かったからさ。何がどう危険なのか、順序立てて説明してくれないかな。

中学生A: 実は…

*

ゆう子: なるほど、A子さんたちの学校の理事長が、購買の焼きそばパンを発売中止にしようとしているわけね。

山岡: 「焼きそばパンは下品な食べ物で校風に合わない」…か。でもその理事長の言うことにも一理あるよな。焼きそばパンなんて、あんまり品のいい食べ物じゃない。食べ物自体もそうだけど、手巻き寿司と同じでさ、口で食いちぎる食べ方がちょっと…

ゆう子: 「クロワッサン・サンドは品がいい」…そう言われれば確かに…

山岡: いや、それもどうかな。北米のバーガーキングには「クロワッサンイッチ」という朝食メニューがあるけれど、脂っこくてあまり感心しない代物だったよ。

中学生A: そうですよ、そうですよ! 理事長ご推薦のクロワッサン・サンドに負けない究極の焼きそばパンを作ってください!

中学生B: クロワッサンなら上品だ、なんて西洋かぶれのブランド品志向と同じです。焼きそばパンこそ日本人の心のふるさとっ! よくぞ日本人に生まれけり、という料理なのですっ!

中学生A: 焼きそばパンを守れ! クロワッサンを追放せよ!

中学生B: 尊皇(そんのう)攘夷(じょうい)! 尊皇攘夷!

山岡: たはっ…

*

山岡: そりゃパンはさ、国産の良質な小麦粉を使って、イーストフードなど使わずまじめに作ればおいしく作れるよ。天然の酵母を使って。焼きそばだって、良い野菜を使ってきちんと作って、できたての熱々のを食べれば、おいしい。だけど、焼きそばパンとなるとなあ。その場で調理するのでもない限り、中の焼きそばは冷めてしまう。冷めた焼きそばなんておいしいはずがない。あんパンとはわけが違うんだ。

ゆう子: でもカレーパンはどう? カレーだって、一見、できたてがおいしくて、時間がたって冷めたらおいしくないはずだけど、カレーパンのカレーは冷めているわ。

山岡: そうか。カレーパン方式があったか。閉じ込めてしまえば酸化しにくく、風味の劣化を防げるぞ。

中学生A: 閉じ込めちゃだめよ。

中学生B: そうそう、焼きそばの上に紅ショウガが乗ってるところが、かわいいんだから!

中学生A: なんか山岡さんて、頼りなくなくない?

中学生B: 海原雄山に頼もうか…

山岡: 雄山がそんな頼みを聞くもんか。冷めてもおいしい焼きそばパンを作れ、だなんて。

海原雄山: 話は聞かせてもらった。

山岡: ど、どこからわいて出たんだ。

海原雄山: 燕雀(えんじゃく)いずくんぞ鴻鵠(こうこく)の志(こころざし)を知らんや。小人は細かいことにこだわり、本質を見ない。

山岡: おまえは、冷めてもおいしい焼きそばパンを作れるというのか。

海原雄山: やはりな。

山岡: 何がやはりなんだ。

海原雄山: 言葉で説明しても無駄だろう。今からその理事長のところに案内してもらう。本質とは何か知りたければ、おまえも来るがいい。

*

千歳: 美食家として名高い海原雄山先生にお越しいただくなんて、光栄の至りです! わたくしが理事長の、藤ノ宮千歳です。

海原雄山: この学校の購買には、都会ノ学園にはない焼きそばパンがあるそうですな。

千歳: いえ、その、ぁ…あのようなものは禁 ―

海原雄山: さすがは新田舎ノ中学。

千歳: えっ…?

海原雄山: 都会ノ学園は何でも西洋風にすれば高級だと思いこんでいる。実に情けないことだ。自国の文化さえ尊重できずに、他国の文化を尊重できるわけがない。クロワッサンならおしゃれだなどと、凡人の考えそうなこと。焼きそばパンは日本が世界に誇る食べ物です。

千歳: も、もちろんですわ…。らんま1/2にも登場しますもの。おほほほほ。

海原雄山: 都会ノ学園の生徒会長は、バレンタインのときも、ベルギーのチョコレートを取り寄せて独り悦に入っていましたな。一方、あなたはバレンタインなどくだらないという態度だった。

千歳: よくご存じで…。

海原雄山: ええ、かないみかと、こおろぎさとみの区別がつかない者は、美食倶楽部には入会できない。ともあれ、一言賛辞をお伝えしたかったのです。それではこれで失礼します。

*

中学生A: 海原先生、ありがとうございました。理事長は禁止を撤回してくれました。

中学生B: それどころか、焼きそばパンを奨励することになったんですっ!

海原雄山: 士郎、分かったか。彼女たちの願いは「おいしい焼きそばパンが食べたい」ではなく「焼きそばパンが購買からなくならないようにしてほしい」だった。理事長の考えは「焼きそばパンはまずい」ではなく「世間体が悪い」、要は「認められたい」「高く評価されたい」ということにすぎない。おまえはまたしても「天然酵母」だの「閉じ込めればいい」だの、材料自慢、腕自慢に走り、相手が真に何を望んでいるのか、人の心が見抜けなかったのだ。料理の基本はもてなすこと、人の心を楽しませること。基本すら分からぬおまえに、果たして究極の料理が作れるのかな…





ラーメンライス幻法 3題


攻殻美味しんぼ ― 'Bot for the Chef

(モトネタは「MAD美味しんぼ 3題」(2005年9月)の「激突! 放射能料理対決」)

***

団社長: で、今度の「究極」対「至高」の対決の題材は、ハイテクを使ったラーメンライス、ということで進めたいのですが。

大原社主: しかしラーメンライスにハイテクもローテクもあるのかね。要するにラーメンとごはんだろ。

団社長: 常識で考えればそうなのですが、実は「ハイテクを使ったラーメンライス」を題材にしたいとおっしゃっているのは海原先生なんです。

山岡: 何、雄山が?

団社長: はい。「洗練と上品だけが料理ではない。ラーメンと言えば庶民、ラーメンライスと言えば下品、とばかの一つ覚えのように考える衆愚(しゅうぐ)の蒙(もう)を啓(ひら)くという点でも意義深いことだ」と…

富井副部長: 対決を断れば我々は衆愚ということか…

山岡: いいですよ。そんな挑発に乗るわけではないけど、向こうがそれでやりたいというなら、宇宙船でも超伝導でも。

*

三河編集長: というわけで番外編なので、途中は省いていきなり対決です。それでは東西新聞社からお願いします。

京極: はて。ただの安っぽいラーメンライスにしか見えへんけど…

唐山陶人: どこがハイテクなんじゃ。わけが分からん。

山岡: 論より証拠。まずはお試しください。

京極: ほな一口…

唐山陶人: こ、これは…!

京極: ただのラーメンライスどころやない。この法悦。

唐山陶人: ラーメンのうまさを繊細なメロディーにたとえるなら、このラーメンのうまさはポリフォニー、それも四声部、五声部の旋律がからみあった複雑な音楽だ。めちゃくちゃうまいぞ。

秀沢局長: 信じられない…。いくつもの味の成分が絡まり合って複雑で重厚だが、それでいて軽妙で典雅。まさに、音楽でたとえるなら、バッハのフーガの技法、パッヘルベルの三重カノン、ラベルのパバーヌを合わせたようなすごさ。いったいどんな調理法を使ったんだ。

山岡: 味覚は大脳の働きと深い関係にあります。「うまい」という満足感は、突き詰めれば、大脳の味覚の受容体が適切に活性化されることだ。ほろ酔い加減で食うと同じラーメンでも異様においしく感じられますが、アルコールの作用で大脳の認識が変化するためです。われわれのラーメンライスは、この考えを推し進め、ラーメンライス受容体に特異的に作用する 8,0,1-ヘプタナナシサン-4,6,4,9-ピョコラアナローグ-2D-φ[3,17,23]-妖化フェアリシウムを配合してあります。この物質は、α1β2およびα1β4サブタイプ受容体を直接刺激し、大量のドーパミンを放出させる。これによって脳は「めちゃくちゃうまいラーメンライス」を認識します。

山岡: 一方、パーシャルアゴニストとして拮抗(きっこう)作用も持ち、まずいラーメンライスに反応する受容体のα2β6サブタイプをブロックしてしまう。これにより、実際に食べている「安いラーメンライス」の不快な刺激は一切感じられないことになります。大脳を直接制御する、まさに究極のハイテク料理と言えるでしょう。

富井副部長: そうか、料理がうまいというのは要するに、大脳皮質の化学反応だったんだ…。しかし、うまい。これはうまいですぞ。ほっぺが落ちそうだ。

三河編集長: 「究極」の側の味覚野の薬理的制御技術はなかなか好評のようです。それでは次に「至高」の側の料理をお願いします。

唐山陶人: これは…小さいどんぶりだな。

京極: ミニサイズのラーメンライスかな。

唐山陶人: うわはぁ、何という…!

全員: うまい!!!

海原雄山: さよう、ミニサイズのラーメンライス。しかも普通に小さいだけではない。ナノボットが入っている。

京極: ナノボット…?

海原雄山: ナノボットとは、ナノメートル、つまり10のマイナス9乗メートルの分子レベルの大きさで動作する極小マシーンです。いくら微小とはいえ異物なので、普通に経口摂取すれば不快な反射が起きる可能性を否定できない。しかしラーメンライスのような、性急にかきこむ料理に加えれば、この関門を突破できるのです。小さいどんぶりを使って一口で丸飲みできる量をお出ししたのは、ラーメン内の位置によらず、確実にナノボットが体内に入るようにするため。

小泉編集局長: ラーメンライスをナノボットの溶媒と割り切るとは。何という斬新な…。

海原雄山: このナノマシーンは体内に摂取されると、血管内を高速で自走して大脳に達し、 眼窩(がんか)前頭皮質をシグナル伝達レベルで物理ハッキングするようプログラムされている。これによって味覚野が何を認識しているかと無関係に脳は「うまい」という最終判断しかできなくなります。もちろん用意したラーメンライスそのものも美食倶楽部の技術を駆使した本当においしいものですが、ナノボットはさらに、感覚性言語野と運動野を直接駆動し「うまい」という言葉の想起と発音を強制します。その結果は…今実際にご経験いただいた通り。

唐山陶人: うむ、人類未到の領域を感じさせるわい。「究極」側の味覚野の化学刺激も素晴らしかったが、それはアルコールや麻薬の延長線上を出ない。それに対して「至高」のラーメンライスはアプローチそのものが新しい。

大原社主: ……。

小泉編集局長: ……。

三河編集長: えー、審査の結果を発表します。「究極」の大脳皮質味覚野のレセプターをターゲットにした手法は大変素晴らしいものでしたが、大脳の認識そのものをターゲットにした「至高」のナノテクノロジーと比較した場合、単なる薬物投与は在来技術であり、幼稚と言わざるを得ません。料理そのものについても、味覚野のみを制御する「究極」の料理ではうまさのほかに心に雑念が残りますが、言語野をハッキングする「至高」のラーメンライスでは「うまい」以外、何も考えられない涅槃(ねはん)の境地に達します。調理法の素晴らしさ、結果の素晴らしさのいずれにおいても「至高」の側の勝ちと判断します。

海原雄山: フフッ、士郎。おまえは脳に作用するといえば薬品、との固定観念にとらわれ、攻性ナノボットによる義体の物理的ハッキングにまで考えが及ばなかった。味覚野は料理の受容の入口に過ぎず、最終判断は脳全体、料理の感想を言語化するのは大脳言語野だ。入り口を押さえただけで「究極」とは笑止千万。

山岡: うぐ…

海原雄山: おまえには、脳が詰まった人間の頭をハッキングするのは、百年早い。代わりに、あんこが詰まった魚の形のケーキでも盗み食っているがいい! それがおまえにお似合いだ、うわーはははは!

山岡: うぐぅ。

*

富井副部長: 山岡のやつ、呆然としているようだな。

谷村部長: 山岡くん、まあ、そう気を落とさずに。

山岡: いや、ちょっと考え事をしていただけです。雄山の調理法はまだ改良の余地があるのではないかと…

谷村部長: 本当かね?

山岡: 雄山は味に対する最終判断をハッキングしたけど、どうせハッキングするなら「至高の料理」と聞くとムカムカするように情報を上書きできれば、常に「究極」側の勝利に…

谷村部長: 無理じゃないかな。そんなことをすれば、海原氏のことだ、それに対するワクチンプログラムを直ちにナノボットに組み込み、今度は攻性防壁による逆ハックを仕掛けてくると思うよ。

山岡: そうか、その問題があったか…。ハイテク料理は奥が深いな。

ゆう子: でもナノテクノロジーは医療・工学・学術など、たくさんの平和利用の分野があるのね。ナノボットがお料理にも役立つことが分かっただけでも、今回は収穫だったんじゃないかしら…




仏説ラーメンライス

(BakaMemo 2006年11月「ラーメンライスは実在しているか」より)

***

自在に観るシッダールタは、知恵と悟りを求めて何時間も瞑想していたが、不意に「ラーメンライスは実在していない」と見抜いて、世の迷妄を克服なさった:

舎利子よ、ラーメンライスとは食べ方であり、ラーメンライスという物自体が実在するわけではない。ラーメンライスはラーメンではないし、ライスではない。ラーメンとライスの二つの皿を前にして人が「我はラーメンライスを食べよう」と思うとき、そこにラーメンライスは現れる。「やはりラーメンとライスを別々に食べよう」と思い直すとき、ラーメンライスは消滅する。このようにラーメンライスという物は空であり、ラーメンライスとして観測されるときにのみラーメンライスに収束する現象、それがラーメンライスなのだ。

舎利子よ、この世の料理はすべて実在しないという特性を持っている。空であるラーメンライスは増えることも減ることもない。美味しくなることもまずくなることもない。熱くなることも冷めることもない。古びることも若返ることもない。動植物の死骸を切り刻み、加熱し、これは何々という料理であると呼ぶとき、人はそれが実在する料理であるという迷妄にとらわれる。

ラーメン、ラーメン、パーラーメン。ニンニクラーメン、チャーシューヌキ。スバーハー。

そう唱えると、シッダールタは「分かったぞ」と叫びながら風呂に飛び込み、ついでにアルキメデスの原理を発見した。何だか順序と時代考証がでたらめなようだが、知ったことではない。ニンニクラーメンは菜食主義のため、チャーシューヌキは殺生を避けるため。つじつまは合っているのだ。風呂から上がるとシッダールタは、さっそくラーメンライスを食べた。瞑想のし過ぎで腹ぺこだったのだ。舎利子が「その料理は空なのではありませんか。先生は『色は空である』とおっしゃいました」と尋ねると、シッダールタは「おれさまの腹も空なのだ」とお答えになった。




新訳・仏説ラーメンライス

おいしいレシピに帰依(きえ)いたします。

私はこのように聞きました:

1. 自ら在る方は、大衆食堂で注文した5人前の大盛りラーメンライスを眺めていたが、どの皿にもラーメンライスが入っていないことを看破した。

2. 「ほら、サリプトラ君」その方は言われた。「ラーメンと、ライスが5つずつ並んでいるだけじゃないか。『ラーメンライス』などないんだよ。『これはラーメンライスである』という我々の思いこそが、『ラーメンライス』という迷妄のたった一つの根拠だったんだ」

3. 「ラーメンライスは空虚だ。この空虚さこそがラーメンライスなのだ。生ずることもなければ、滅することもない。指し示すこともなければ、指し示されることもない」

4. 「だからね、サリプトラ君、『ラーメンライス』には形がなく、においがなく、味がなく、手触りがなく、音がない。ラーメンライスを食べたいという思いはなく、ラーメンライスを食べたいという思いがなくなることもない」

5. 「愛も、執着も、憎しみも、名誉も、不名誉も、ラーメンライスのようなものだったんだ」

6. 「だからサリプトラ君、現在と過去と未来の三つの時間を生きるすべての天使たちは、例えようもない紫亜(しあ)ちゃんによって、美しいベルダンディーによって、さらにまた、真のファンとしての慎みによりその名を挙げることはしない存在によって、祝福されている」

7. 「それゆえこのレシピは偉大であると認められるべきだ。偉大な知恵のレシピ、 無上のレシピ、 比類なきレシピであり、あらゆる飢えの癒(い)やし手だ。このレシピは、自分が正しくないと知っていることによって、真実である。そのレシピとは…」

かんすい、かんすい、チャーシューめん、とんこつラーメン、なると、めし!

これでおいしいラーメンライスの出来上がりです。

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