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苦いココア
2009年 06月 19日 (金) 01:34 | 編集
「これが私」

そういって何本もの線を見せてくれる
まだ赤いもの
少しだけ盛り上がった肌色

何本もの線が
無造作に置かれたパスタのように

茹でても柔らかくならない心

「もうやっちゃ駄目だよ、約束だよ」
「うん、約束」

***はピアノを弾く



「これが今飲んでいるクスリ」
カラフルな錠剤を取り出して説明する
「これは好き、これはあんまり効かない、これは***」

嬉しそうに話して
でも口元は笑っていない
不安定な光が瞳の中を彷徨って
振り子のランプのようにゆらゆら揺れる

ゆらゆら
ゆらゆら


「約束だよ」
「うん、約束」

そうやって
何度も何度も約束を交わす

忘れてしまわないように
忘れてもいいように
消えてしまわないように
消えてもいいように
悲しみから離れるために
悲しみを抱きながら

今日は希望を
明日には分からなくなる
止まらない
一度触れた振り子は
抵抗なんて
止まらない、
行っては返し

「***したの」
電話口でそう話す
「どうして?」
「悲しかったの」
「なぜ?」
「分からない」

雪の斜面に描かれるシュプールを連想させる
白い肌に***がたてられ
ゆっくりと引かれていく

「タバコはやめたほうがいいよ」
「うん、***がいうならやめる」
「約束だよ」
「約束」


心臓に負担がかかっている
動機が襲う
震えが止まらない

掌でゆっくりと冷たくなっていく
小鳥を思い出す



ベッドの上で点滴を受けている
安らかな表情
たぶん私には何も出来ない
それでもいいから傍に
でも
駄目だよ
駄目になるよ
何も出来ないんじゃない
なにもしないんだ

「一緒にいてくれてありがとうございます」
そう母親が頭を下げる
「いえ、何もしてませんから」
用事があるからと先に帰ってしまった
もう慣れている
また
なのか
もう
なのか
表情からは分からない



<優しくヂゴクへ突き落としてくれる>
そう色紙に書かれた言葉が
壁の向こうに透けて見える


マニキュアを塗る
クスリの所為なのか
手が震えて上手く塗れていない
「かしてみて」
左手で右手を掴み
筆をそっと爪に這わす
一回
二回
三回
「上手ね」
「このくらいは簡単だよ」

「左手も」

塗り終わった左手を乾かしながら
視線は爪ではなく
腕を


部屋にはピアノが置いてある
88鍵を指でなぞる
段差でところどころで引っかかる
白黒白黒白白・・・・・・
体に鍵盤を宿して
それを眺めて
何を思っているのだろう

「約束だよ」
「うん。約束」



ココアを飲む
ピュアココア
混じりけのない
純粋な
純粋だから
きっと苦い




「約束だよ」
「約束・・・・・・」





---
よく生きるということが
その先の*に直結しているから
誰よりも
ほんの少しだけ
知らなくてもいいことを
***しまう

無理に捻じ曲げたりしない
そのままを受け止めるから
悲しくなってしまうだけ

それだって本当は悲しいわけじゃない
でも***でしか表現する方法をしらない


私は*を囁く
大丈夫*があるよ


温めた苦いココアをすすりながら
砂糖はいらない
そう呟いた
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