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癒しの怪
2009年 03月 03日 (火) 20:39 | 編集
グッド・グリーフ―私は、ここにいる。
グッド・グリーフ―私は、ここにいる。

奇妙だ。悲しいはずの物語も終わって俯瞰すれば、どこを取ってもずいぶんと楽しく明るい色彩に染まっている。

ガンで夫を失う。
心を失い、自分を失う。
仕事を失い、ついには家も失い、思い出のない土地へと。

待っていたのは、磨り減る貯金と、リスカの少女。
ウエイトレスから、皿洗い、放火にリストカットを繰り返す少女に悩まされ
ちっとも前に進まない。2歩進んでは3歩戻り、腕にタバコの焼きあと、格子状に走る切子模様。

それでも踏み出す一歩を見失うことなく確実に前に進んで行く。

ユーモアで疾走感のある文章は、そのままアメリカのドラマのようで、そのメチャメチャなまでの落ちっぷりと、道化ぶりに頭がクラクラする。
スロースターターの私には始まりはもうちょっと少なめのトーンで始まって、こちらのエンジンが温まった頃にググッときてほしい。これは個人的な好みだから、うん、楽しい、悲しい、面白い。

その時の感情も手抜きなんかではなく、きちんと描かれている。何もやる気が起きないとき、どうしようもなく沈んで自暴自棄の寸前まで行っては、風に揺れるブランコのように少しだけ戻る感情。
どうしようないほどあふれてくる感情なのに、溢れさせることもできず、ただ為すがままに放り出す体。薬に対する感情。頼ってはと思う心と、でもどうしようないと伸ばす手。
丁寧に取材したんだろう。

リスカの少女もイキイキと描かれている。イキイキと病んでいるんだけど、でもどうやって伝えればいいのか分からず、「心配」「不安」という手段に訴えてしまう。いけないことだと感じているのかいないのか、でも救われてしまう自分がさらに傷を増やしていく。

しっかり者の義母もひたりひたりと忍び寄る悲しみに侵食され、対にはおかしくなってしまう。忘れることで埋めようとする傷は、しかし決して埋まることはなく、悲しみがずっとそこにあることを思い出させる。

愛とともに恐怖もやってくる。新しい恋の予感は同時に嫌な思いも同時に運んでくる。
確執と、不信感。でも惹きつけられることへの板ばさみ。

それでもみんなで明るく前に進んで行く。何も捨てない、諦めるのではなく、きちんと知ること。最後には「きっと大丈夫だから」と言えるときがくるまで。

アメリカ文学を堪能し、次はイギリス文学。新しいか古いかなんて相対的なもの。
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