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土佐日記
2008年 11月 15日 (土) 07:30 | 編集
ある歌人の名前を見てふっと思い出す。

魍魎の匣がなにげに面白い。

「なんだか面白くなくなる……それだけさ」

本を二冊読んで六冊返す。図書館は深夜にしか開かない。月の出る夜に扉を開け明かりが灯る。差し出された本にはタイトルはなく、中身もない。この館では図書目録もない。あるのは貸し出しカードとその人専用の白本で中身は図書館から抜け出ると現れる。その人が望む物語なのか、既にあった昔の物なのか、未来の物なのかは分からない。

ただ借りて外に出れば物語が現れ、振り向けば何もない空き地が広がるばかり。

この図書館は偶然知ったものじゃない。昔よく一緒になって遊んだ友人から電話があり、ずっと前に借りっぱなしの本を代わりに返すことになった。

「そういえばずっと前に本を貸したの覚えてるかい」
「うん、返そう返そうとずっと思ってたんだけど……ごめんなさい。怒ってる?」
「いいよ。いつ返してほしいかも言わなかったのはこっちらだ。それよりもその本、私の代わりに『返して』おいて欲しい」
「君のじゃないの?」
自分のではない本を又貸しするなんてどうかと思ったが、借りて十分楽しんで返さない私も人のことは言えない。

「その本は私の本さ、正真正銘のね」

自分の本をなぜ・どこに返すのか、その理由はさっぱり分からなかったが、代わりに返すことになった。返すときは「向こうの都合」もあるから深夜にしか返せないこと、場所は私の自宅のすぐ近くということを伝え終わると、挨拶もそこそこに電話は切れてしまった。

本にはどこかの所有物である「しるし」はなかった。図書館なら管理用のバーコードやICタグがあるものだ。次になぜ返すのかを考えた。結局これ、というものは思い付かなかったが、寄贈する約束かなにかがあるのだろう、そう結論付けてその日は終わった。

起きたら空は薄らと曇り、月がチラチラとその白い舌を出す。
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