色々なことを、気の向いたままに。
事象境界線
流星雨の夜 
2008年 08月 12日 (火) 21:55 | 編集
「本当に見えるの?」
夏名が不安そうに空を見上げる。

「予報では真夜中には晴れるって言ってたけど?」
横から秋人が答える。

「見れなくてもそれなりに楽しいって」
僕、真名は答えながら、赤く薄くらい懐中電灯を振り回す。


先ほど舗装道路から畦道に入ったばかりで道が悪い。自転車で来たのはよかったけれど、暗くて少し危ないかな。

「なあ、この辺でよくない?だいぶ暗いしさ」
秋人が同意を求めてる・・・・・・というより既に止まっているから同意でもないか。
「この先もっといい場所があるんだけど、いい?」
夏名に同意を求めたけど、既に自転車から降りてシートを敷いてるし。妹ながらマイペースというか、勝手というか血は争えない、か。

赤い光で方角をコンパスで確かめる。北の方角だよな・・・・・・

「みえた!」
夏名が声を上げた。
「え!どこ?、どのへん」
「あそこらへん、ほらまた!」
「え~どこ?見えないよ。夏名、目良すぎ」

暗さに慣れないと最初は見えないんだよ。


星は雨のように流れる。これからも、ずっと。これから先、もうこの三人で星を見ることはないかもしれないし、今日のことも忘れてしまうかもしれない。


数年が経った。

それでも星が降る夜には、どんなに日常に埋もれて忙しさに忘れてしまっても必ず思い出す。
あの日、帰り道、道路いっぱいに広がってさっき見た流星雨について興奮気味に話す夏名と秋人。僕も周りが見えていなかった。
正面から来る強烈な光、スキール音。

気がついたときには空には星はなく、方眼紙のような天井が広がっていた。



あの時二人はそのまま、星になり地上に降ってくることはなかった。
流星雨は今年、あの二人を降らせてくれるだろうか?

「星は地上のことなんて関係ないんだよな」

――そんなことないよ。

月がぼんやり霞んでいた。


今日ペルセウス座流星群がもっともよく見れる日だとか。
Comment
この記事へのコメント
極大
流星の雨は遠い。遠くて遠くて遠すぎて、それが見えても本当に存在しているのかどうか信じ難くなるほど。

「あれは天の蜘蛛が垂らした糸だよ」って言われたらきっとわたしはそっちを信じてしまう。
2008/ 08/ 13 (水) 05: 56: 07 | URL | maya # gQraGX56[ 編集 ]
天辺の糸
蜘蛛の糸がキラキラ光って流れ星になるのなら、天の雲は空にどんな巣を作るつもりなのだろう?

人が打ち上げる衛星や調査衛星はさぞや巣作りの邪魔でしょうね。

星が天上に空いた穴ならば、流れ星は引っ掻き傷といったところでしょうか。
空気の澄んだ高地に行って新海さんが描く空を近いうちにこの目で見てみたいな。
2008/ 08/ 14 (木) 07: 41: 04 | URL | MK # EGTCt1XI[ 編集 ]


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